口紅について

 女性は一生のうちに約8本の口紅を食べるらしい。読んでいた雑誌にそう書いてあった。

 こういう話を聞くとなんとなくうれしい。「8本くらい食っても大丈夫なんだ」と思う。

 一生のうち女性が日常的に化粧をする期間を、ざっくり18歳〜70歳までの52年間と見積もる。8で割ると6.5年。女性はおおよそ6.5年をかけて一本の口紅を食っているというわけだ。

 高校を卒業した18歳の4月を起点とすると、24歳になる年の10月の時点で一本食い終わるのである。いま自分は27歳なので、すでに約1.4本の口紅を腹に収めてきている計算になる。

 1.4本食っても毎日元気に生きている。やっぱりなんとなくうれしい。それから今まで食ってきたいろいろな口紅たちのことを思い出す。

 思えば1本目はちふればっかり食ってきたような気がする。たまにSUSIE NY。なんとなく口紅というものに気後れしていた時代であった。あと金も無かった。

 2本目からは少しバリエーションが増える。ちふれは相変わらずだが貰い物のエスティーローダーとイヴ・サンローランが加わった。サンローランは美味しそうな匂いがするので非常に気に入っている。

 これから自分はあと6.6本の口紅を食っていく。せっかく食うなら気に入った口紅を食いたいものだ。

 そんなことを考える年の瀬である。