RMK、キン肉マン、素晴らしい人生
化粧品のブランドではRMKが好きである。質が良くてユーモアがあるところが面白い。
思えば社会人2年目あたりから、給料日の度、今月は下地、今月はファンデ……という風にコツコツと買い揃えてきた。さながら「キン肉マン」のバッファローマン戦でミート君の身体の右足とか胴体とかを一つずつ集めてゆくように。
最近Twitterで「メーカーというのはゴリゴリにエゴサをしているものなので、気に入った製品についてはガンガンツイートしてくれよな」みたいなツイートを見たので、Twitterに書くか~と思ったら結構長くなりそうだったためブログの記事にしてみた。画像は全部公式サイトからです。
キリストは「このパンはわたしの肉体であり、この葡萄酒はわたしの血である」と言ったそうだが、このアイシャドウは私の目です。
アイシャドウについてはかなりの浮気者なのだが、本妻はこれである。ラメの細かいややメタリックな質感と、肌に馴染む色味とのバランスがすごく良い。自分はわりと目と眉が近いので濃い色のアイシャドウを使うと怖い女になりがちなのだが、真ん中のボルドーが暖かい色なので良い雰囲気で彫り深くなれる。あと結構吊り目なので目尻の下に入れて「この辺目の影ですよ~ そんなに吊ってないですよ~」というアピールに使える。
一番最初に使ったRMKのコスメがこれだった。兄夫婦にプレゼントしてもらったのだが、使い方がよく分からず「あのーこれ貰ったんですけど、どんな風に使えばいいんでしょう」とRMKのカウンターに相談に行ったことを覚えている。
発売当時は秋冬の期間限定カラーだった気がするが、いつの間にか定番になっていて嬉しい。かーなりゴリゴリに底が見えているので今度は自分で買います。
- RMK クリーミィ ポリッシュト ベース N 02 ナチュラルオークル
RMKといえばジェルクリーミィファンデーションが有名かと思うが、自分はオイリー肌なので合わず、店員さんに薦めてもらってこちらにした。以来ずっと愛用している。
ぶっちゃけカバー力はエスティローダーのダブルウェアとかDiorのフォーエヴァーに比べるとそんなにない。(呂布と比べるのもアレだけど) ただ少しばかり顔色を明るく、肌をマトモに見せてくれることで、自分のどうしようもない部分を確実に"底上げ"してくれるのだ。どうしようもない自分だし、どうしようもない人生だけど、まあちょっと今日も生きてみっかと思わせてくれるパワーがある。得難く素晴らしいことである。
好きとか気に入ってるとかじゃなくてほとんど祈りである。死んだらこれで死に化粧してくれ……
- RMK ネイルポリッシュ 01ベーシックベージュ
色っぽい色。このネイルを塗るとしみじみ「人妻の爪じゃん」と思ってしまう。
ベージュだけど黄色みが弱いのであんまり指の色と一体化しないところが良い。(画像はわりと黄色っぽく見えますが……)
RMKのネイルはボトルが縦長だから液が少なくなっても変わらず塗りやすいところが良いよね。
- 今後欲しいやつ……RMK インジーニアス クリーム&パウダー アイズ
店頭にあったやつを試しに手の甲に塗ってみたらラメが凄すぎて「エレクトリカルパレードが始まったのか??????」と思った
よつばと!雑感
何年かの間、よつばとは何故か「4の倍数の巻だけ家にある」というトンチキな状況だったのだが、13巻が出たとき(ずいぶん前だけど)に13巻を買い、急に11巻が読みたくなって11巻を買い、散歩してるとき公園で読もうと思って9、10巻を買い、7巻から6→5と遡って集め、去ったゴールデンウィークに東京で14巻を買い(沖縄はまだ入荷してなかった)、4巻を紛失していることに気づき、先ほど1〜4まで集め、既刊コンプリートを果たした。
久しぶりに初期の話を読むとノリがコミカルというか、漫画だなーと思う。あさぎがプール行くと思って一張羅着てくるジャンボとか、漫画してるなと思う。あとまだみんなとの関係性が出来上がってない感じがこそばゆい。仲いい人と知り合ったばっかりの頃の写真見てるみたいな気持ちになる。
初期のよつばと!は「(日常)世界の中のよつば」っていう構図で、それが途中から「よつばが見ている(日常)世界」っていう構図に転換したんだと自分は考えていて、その構図がよつばと!を唯一無二の作品にしてるんじゃないかと思う。言うなれば初期のよつばはドラえもんで、それ以降のよつばはのび太くんなのである。大体5巻あたりが転換期なんじゃないかと思っている。
個人的に印象深いのは11巻のしゃぼん玉の話である。就活中、東京へ行き、面接までの時間をつぶすために入ったネットカフェでその話を読んだ。私は就活がまるでうまくいかなかった側の人間だったので、そのとき抱えていた焦りや不安に、転んで痛がりながらもしゃぼん玉が面白くて「ゆきだるまみたい」と泣き笑いするよつばが心にぴったり飛び込んできて、ネットカフェで大泣きした覚えがある。そのときの気持ちはもううまく思い出せないけど、今読むと「あのとき自分頑張ってたな」と思えて少し懐かしい。もう6年も前になるのか〜。
今読んで一番好きな話は焼き肉の話である。小さい頃、お盆やらお正月やらで大人が家に集まってきて、よく分からん話で盛り上がり、たまに冷蔵庫からビール取ってこいとか言われて、それがうれしいみたいな、不思議と高揚する感じを思い出す。あの話は大人たちがリラックスしているところがすごく良いし、「ハーゲンダッツ」のオチもいけてる。
ちなみに「よつばと男性陣で誰か好きか」という鉄板の話題があるけれど私は心の底からやんだ派である。なんとなく周囲には「やんだ好きは浅薄なオタク」という風潮があるのだが、酒飲まない(焼き肉回)、タバコ吸わない(しゃぼん玉回の「おまえ吸うの?」というとーちゃんのセリフ)、キャンプで子どもたちが探検に行くとき、スッと付き添いを申し出る後輩力、子どもと(同レベルで)遊べる、……など魅力は尽きない。13巻以降は妙にカワイイ顔をしているけれどちょっと前のいかにも雰囲気イケメン然とした雰囲気も好きである。やんだ好きだ、結婚してくれ……。
やんだの夢小説書こ!!!!!!!!!
ひょこひょこおじさん
「ライ麦畑でつかまえて」を初めて読んだときのことはもう忘れてしまったけれど、そのときの気分だけはよく覚えている。「風邪引いて熱があるときにぼんやり天井を見ている」という気分。学校を休んでて、でも起き上がってテレビを見る元気もなくて、眠るのもちょっと違うから天井の隅っことかをぼうっと見ている。だるいんだけど、それが少し気持ちいいみたいな感じ。(風邪引いてるときに読んだわけではないと思うけど、風邪引くとなんとなく読み返したくなる。)
ところでサリンジャーの短編に「コネティカットのひょこひょこおじさん」というのがある。酔っ払った女が旧友に家の愚痴とか昔の男の話とかをグダグダ喋り続けるというどうしようもない話なのだが、ラストに「学生の頃ドレスがダサいと言われて一晩中泣いていた」という話をしたあとのセリフが凄く良い。
「あたし、いい子だったよね?」訴えるように彼女は言った。「ねえ、そうだろ?」
ここで今までのどうしようもなさの性質がが一気に変わるというか、ただどうしようもないんじゃなくて、たぶん女は昔のことにとらわれて、どうしようもなく寂しく誰かに肯定してほしかったんだというのが垣間見えて、胸に迫るものがある。
あとタイトル訳がめちゃくちゃ良い。これは女が学生のころ、転んで足をひねったときに昔の男が「かわいそうなひょこひょこおじさん」とからかった(?)ときの言葉である。原題は "Uncle wiggily in connecticut" というのだが、wiggilyというのは「揺れ動く」という意味で、そこを「ひょこひょこ」にしたのは凄いセンスだと思う。転んだとき好きな男に「ひょこひょこおじさん」なんてからかわれたらきっと胸がいっぱいになっちゃうだろうな。
(ちなみに当時のアメリカの新聞の子供向けコーナーにUncle wiggilyというキャラがいたようである。uncleと足首のankleをかけたシャレになっているらしい。「起き上がりコボちゃん」みたいな感じだろうか。)
訳者は野崎孝という人で、セリフを訳すとき「〇〇なんだな」という語尾がよく出てくる。カワイイ。
あとサリンジャーで思い出すのは、「ママレード・ボーイ」で茗子ちゃんが気になってる先生と好きな作家の話をしているとき、イギリスの難しい作家を挙げたあとでの「ごめんなさい ほんとは読んだことないの。好きなのはサリンジャーなんです。平凡でしょ?」というセリフ。めちゃくちゃ可愛くて好きなんだな。(野崎訳リスペクト)
父、日産
父は昭和28年に沖縄の糸満というところで生まれた。かなりの貧乏をしたらしく、子供の頃ガリガリに痩せた姿がほうれん草を食べる前のポパイに似ていたのであだ名が「ポパイ」だったそうである。(ピンとこなさすぎる)
高校を卒業した後、大学に行きたかったらしいが家が貧乏だったために行けなかった。そこで父は内地へ出稼ぎに出ることにして、当時米軍統治下の沖縄でパスポートを取得し、日産の横浜工場で働きはじめた。昭和47年、19歳の父は横浜で沖縄の本土復帰を迎えたということである。
2年ほど働き、沖縄に帰って通帳を見てみると預金がまるごと無い。
預金は祖母(父の母)にみんな使われてしまっていたのだった。「貧乏だからしかたがない」と父は思った。
とりあえず父は失業保険を受け取ろうと思い、そのためには就活をしなくてはならなかったので何社か適当に入社試験を受けてみた。そこでたまたま受かった会社にその後約40年勤めることになる。働きながら大学の夜間学部も卒業している。
祖母とは特に縁遠くなることもなく、私から見ると普通の距離感の親子であったように思う。
思い出してみると父は日産の車にばかり乗っている。パオ、二代目マーチ、ティーダ、今はノート。何か思うところがあるのかもしれないし、別に無いのかもしれない。聞いたことがないのでわからない。
何を成し遂げたというわけでもないが、尊敬に値する人物だと思っている。